改葬とは?手順・費用・移転先の選び方を分かりやすく解説

「遠方にあって年に一度しか行けない」
「後を継ぐ人間がいない」
「管理費の払い込みのたびに心が重くなる」
こんな事情を抱えながらも、「先祖のお墓を動かすなんて罰当たりではないか?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
ですが、改葬は決して不謹慎な行為ではありません。
厚生労働省の統計によると、2022年度の改葬件数は全国で15万1,076件に達し、統計開始以来の過去最多を更新しました。10年前と比べると約1.7倍の増加です。

時代の変化とともに供養のあり方も変わってきています。
そこでこの記事では、改葬とは何かという基本から、移転先の選択肢、実際の手順、費用、そしてよくあるトラブルへの対処法まで、改葬に関わるすべての疑問に答えます。
大切な故人をどこにどう安置するか。その判断を後悔しないためのガイドとして、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
改葬とはなにか
改葬とは、すでにお墓や納骨堂に納めた遺骨を、別の場所に移すことです。
いわゆる「お墓の引越し」と表現されることが多く、法律によって手続きが定められています。
法律上の定義(墓埋法 第2条)
改葬は、「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」の第2条第3項において、「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義されています。
引用元:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」
重要なのは、たとえ自分の家のお墓であっても、勝手に遺骨を動かすことは法律で禁じられているという点です。
同法第5条により、改葬を行う際は市区町村長の許可(改葬許可証)を得ることが義務付けられています。無許可で遺骨を持ち出した場合、罰則の対象になる可能性があります。
また、「改葬」の範囲は墓地間の移動だけに限りません。お墓から取り出した遺骨を海洋散骨や手元供養に変える場合も、法的には改葬の手続きが必要です。
この点を知らずに進めてしまい、後から問題になるケースもあるため、最初に把握しておくことが大切です。
墓じまいとの違い
「改葬」と「墓じまい」は混同されがちですが、少し意味が異なります。
墓じまいは、現在のお墓を閉じること全体を指す言葉であり、行政手続き、閉眼供養、墓石の撤去、改葬という複数の工程で構成されています。


墓じまいという大きな流れの中に「改葬」が含まれるというのが正しいです。
改葬が増えている理由
改葬件数がこれほど増加した背景には、3つの構造的な変化があります。
1つ目は、遠方にあるお墓の管理が難しくなっていることです。高度経済成長期に地方から都市部へ移住した世代が高齢化し、故郷のお墓に足を運ぶことが体力的にも距離的にも難しくなっています。
2つ目は、少子化による後継者の不在です。子どもがいない、あるいは子どもに負担をかけたくないという思いから、管理不要の供養方法を選ぶ人が増えています。
3つ目は、永代供養や樹木葬といった新しい供養の選択肢が社会に浸透したことです。これらが「お墓を移す先」として現実的な選択肢になったことで、改葬のハードルが下がりました。
改葬先の主な選択肢
改葬先として現実的に選ばれているのは、大きく4つの種類があります。
いずれも「継承者が不要」であることを前提とした選択肢です。自分たちの状況に合ったものを選ぶことが、将来の後悔を防ぐことにつながります。
永代供養墓・合祀墓
永代供養墓は、霊園や寺院が将来にわたって供養・管理を引き受けてくれるお墓です。
後継者が不要であることが最大の特徴で、費用も一般的なお墓より抑えられるため、改葬先として最も選ばれている選択肢の一つです。
合祀墓は複数の遺骨をまとめて納める形式であり、費用は5万〜30万円程度と比較的安価です。
ただし、一度合祀された遺骨は他の方の遺骨と混合されるため、後から個別に取り出すことはできません。
「やっぱり手元に戻したい」「別の場所に移したい」という状況になっても対応できないため、家族全員がこの点を納得したうえで選ぶことが前提になります。
関連記事:永代供養とは?種類・費用・流れを完全解説
納骨堂
納骨堂は、建物の中に遺骨を安置する施設です。
屋内にあるため天候に左右されず、都市部に多いためアクセスしやすいのが特徴です。
費用は10万〜100万円程度と幅広く、ロッカー型・仏壇型・自動搬送型などさまざまな形式があります。
ただし、近年は経営難による納骨堂の閉鎖事例が全国で報告されています。
施設が閉鎖されると、遺骨を別の場所に再度移す必要が生じます。
納骨堂を選ぶ際は、運営主体の経営基盤や歴史、宗教法人か民間法人かといった点を確認しておくことをおすすめします。
樹木葬
樹木葬は、樹木や花を墓標にして遺骨を埋葬する方法です。
自然の中に還るという感覚が受け入れられ、近年急速に広まっています。
費用は5万〜100万円程度です。
注意が必要なのは、同じ「樹木葬」という名称でも、内容が大きく異なる2つの形式があることです。
| 形式 | 内容 | 後から取り出せるか | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| 個別区画型 | 一定期間(13〜33回忌など)は個別の区画に埋葬 | 期間内は可能な場合が多い | 30万〜100万円程度 |
| 合祀型 | 最初から他の遺骨と混合して埋葬 | 不可 | 5万〜30万円程度 |
「自然に還してあげたい」と個別区画型のつもりで申し込んだところ、実際は合祀型だったというトラブルが起きています。
契約前に必ず書面で確認するようにしてください。
海洋散骨・手元供養
海洋散骨は、遺骨を粉砕して海上に撒く方法です。
費用は委託散骨で5万〜10万円、乗船して立ち会う場合は20万〜30万円程度です。
お墓を持たない選択として注目されており、「自然に還りたい」という故人の意向に応える形として最近徐々に注目されてきています。
ただ、海洋散骨は多くの人が実際に乗船して自分で散骨すると思うので、海洋散骨の相場は20~30万円程度と考えておきましょう。

知らない人に勝手に散骨されたくないでしょうからね。
なお、もし海洋散骨を検討しているなら「シーセレモニー」さんがおすすめです。
20~30万が相場のところ、154,000円〜という良心的な料金設定になっていますし、小型クルーザーを完全貸切で手配してくれるので、故人との最後のお別れの時間を大切にすることができます。
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手元供養は、遺骨の一部または全部を自宅で保管・供養する方法です。
専用の骨壺や小さなペンダントに収めるケースが多く、費用は数千円〜数万円と比較的安価です。
関連記事:手元供養とは?種類・費用・始め方をわかりやすく解説
いずれの場合も、改葬許可証の取得は必要です。
「散骨だから手続き不要」と誤解されることがありますが、現在お墓に納まっている遺骨を取り出す以上、行政手続きは避けられません。
なお、散骨に関しては以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
関連記事:散骨の種類は何がある?費用・法律・後悔しないための選び方を解説
知っておきたい例外的な改葬先
通常の選択肢では故人の意向や家族の思いに応えられないと感じる方のために、近年では従来の枠を超えた改葬先も現実の選択肢となっています。
いずれも法的には「散骨」あるいは「手元供養」の形式として位置づけられますが、内容は大きく異なります。

バルーン葬(空中散骨)
バルーン葬とは、粉骨した遺灰を専用の気球に入れ、成層圏付近まで飛ばして散骨する方法です。
気球は上空で破裂し、遺灰は大気中に拡散されます。費用は1霊あたり20万〜24万円程度が相場です。
法務省・厚生労働省は「節度ある方法による散骨」について法に触れないとの見解を示しており、バルーン葬もその範囲に含まれると解釈されています。
「空が好きだった」「どこにでもいてほしい」という方に選ばれることが多く、宗教・宗派のしがらみがない点も特徴です。
ただし、バルーン葬で使える遺灰の量は遺骨全体のごく一部です。
残りの遺骨をどうするかを先に決めておかなければ、手続きが途中で止まってしまいます。
手元供養と組み合わせるケースが多いですが、全体の流れを業者と事前に確認しておくことが重要です。
また、バルーンが成層圏まで届くのは事実ですが、宇宙空間(高度100km以上)には到達しないため、「宇宙葬」と混同しないよう注意してください。
関連記事:バルーン葬の費用や当日の流れを解説!残りの遺骨はどうする?
宇宙葬(ロケット散骨・月面安置)
宇宙葬は、遺灰を専用のカプセルに入れてロケットで宇宙へ打ち上げる方法です。
1997年にアメリカで始まり、現在は日本国内でも対応業者が増えています。大きく3つの形式があります。
| 形式 | 内容 | 費用目安 |
|---|---|---|
| ロケット散骨 | 遺灰をロケットに搭載し、宇宙空間に放出 | 30万〜55万円程度 |
| 人工衛星搭載 | 地球の周回軌道を周回後、大気圏突入で流れ星に | 100万円〜 |
| 月面安置 | 月面探査車などで月に送り、月をお墓にする | 120万円〜 |
いずれも、打ち上げに使える遺灰の量は数グラムから数十グラムと非常に少量です。
残りの遺骨の行き先は別途決める必要があります。
また、ロケットの打ち上げスケジュールは天候や技術的な事情で延期・中止になる場合があります。

いつ打ち上げられるか分からない状況が続くことも考えられます。
遺骨ダイヤモンド(メモリアルジュエリー)
遺骨ダイヤモンドは、遺骨から炭素を抽出し、高温高圧のプロセスを経て合成ダイヤモンドに加工する方法です。
バルーン葬や宇宙葬が「散骨」の延長線上にあるのに対し、遺骨ダイヤモンドは「形を変えた手元供養」というイメージです。
費用はダイヤモンドのサイズや加工内容によって大きく変わり、数十万〜100万円超が相場です。
スイスのメーカー(アルゴダンザなど)が世界的に知られており、遺骨を全量預けることも可能なため、お墓そのものの代替として機能します。
完成までには半年〜1年程度かかります。
身につけられること、次の世代に受け継げること、劣化しないこと、という点が選ばれる理由です。

「いつも一緒にいたい」という思いに応える選択肢といえます。
当然ですが、一度ダイヤモンドに加工した遺骨を元に戻すことは不可能です。
また、業者の品質にばらつきがあり、「本当に故人の遺骨から作られたか確認できない」というリスクも報告されています。
そのため、製造過程の透明性を示している業者を選ぶことが重要です。
例外的な改葬先を選ぶ前に確認すべきこと
例外的な改葬先は魅力的である一方、選んだ後に取り返しのつかない要素を含んでいます。
そのため、以下の4点を必ず確認してください。
| 改葬許可証は必ず必要 | 散骨であっても、現在お墓に納められている遺骨を取り出す際は改葬許可証が必要です。 |
|---|---|
| 残骨の処理方法を先に決める | バルーン葬・宇宙葬・遺骨ダイヤモンドはいずれも遺骨の一部しか使いませんので、残りの遺骨をどう供養するかを、改葬先を選ぶ前に決めておくことが重要です。 |
| 親族全員の合意を得る | 例外的な選択肢は価値観の違いが表面化しやすく、「バチ当たりだ」「故人がかわいそう」という反発が起きることがあります。 |
| 業者の実績・継続性を確認する | 新しいサービスほど業者の参入・撤退が多い分野なので会社の設立年数、実績件数、アフターサービスの有無を確認してください。 |
改葬の手順
改葬の手続きは、順番を間違えると最初からやり直しになります。
「市役所に行けばいい」というイメージを持っている方が多いのですが、実際は市役所に行く前に準備すべきことが2つあります。

手順を正しく理解することがスムーズな改葬への近道です。

ステップ1:改葬先を確保して受入証明書を取得する
改葬の手続きは、移転先を決めることから始まります。
これは単なる段取りの問題ではなく、改葬許可証の申請に「受入証明書(改葬先の受け入れを証明する書類)」が必要だからです。
移転先が決まらなければ、市区町村への申請自体ができません。
永代供養墓や納骨堂、樹木葬など、移転先の施設と契約を交わした後に受入証明書を発行してもらいます。

散骨や遺骨ダイヤモンドの場合は業者に確認が必要です。
ステップ2:現在の墓地管理者から埋蔵証明書を取得する
次に、現在の遺骨が納められているお墓の管理者(寺院の住職、または霊園の管理事務所)から「埋蔵証明書」を取得します。
これは、その墓地に確かに遺骨が納められていることを証明する書類です。
寺院墓地の場合、住職への相談なしに突然「証明書をください」と言うことは関係悪化につながります。
改葬を考えていることをまず丁寧にお伝えすることから始めてください。この相談の進め方については、後述のトラブルの章で詳しく解説します。
なお、何らかの事情で埋蔵証明書を発行してもらえない場合でも、墓地の使用許可証や管理規約など別の書類で代替できるケースがあります。
自治体の担当窓口に事前に相談してみてください。
ステップ3:市区町村に申請して改葬許可証を取得する
受入証明書と埋蔵証明書が揃ったら、現在のお墓がある市区町村の窓口に改葬許可申請書を提出します。
申請先は「改葬先がある市区町村」ではなく、「現在の墓地がある市区町村」です。

間違えやすいので注意しましょう。
必要書類は自治体によって異なる場合があるため、事前に電話やウェブで確認しておくことをおすすめします。
審査が通れば「改葬許可証」が発行されます。
なお、行政手続きの詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:墓じまいに必要な行政手続きとは?改葬許可申請の流れや必要書類
ステップ4:遺骨を取り出す
改葬許可証を手に入れたら、現在のお墓から遺骨を取り出します。
このとき閉眼供養(魂抜き)を行うのが一般的です。
閉眼供養とは、お墓に宿るとされる魂を抜く儀式のことで、これを行ってから遺骨を取り出すことで、仏教的な区切りがつきます。
閉眼供養と遺骨の取り出しは同日に行うことが多く、石材店に遺骨の取り出し作業を依頼します。
複数の方の遺骨が納められている場合、改葬許可証は遺骨1柱につき1通必要です。
身元のわからない遺骨が混在している場合は、事前に自治体に相談してください。
関連記事:閉眼供養とは?費用・手順・僧侶の手配・家族トラブルまですべて解説
ステップ5:改葬先に納骨して改葬許可証を提出する
取り出した遺骨を改葬先に持参し納骨します。
このとき、改葬許可証を移転先の管理者に提出することで、すべての手続きが完了します。
新しい場所に納骨する際、開眼供養(魂入れ)を行うかどうかは、改葬先の方針や宗教・宗派によって異なるので、事前に確認しておくと安心です。
改葬だけにかかる期間の目安
書類取得から納骨完了まで、純粋な改葬の工程は最短1〜2ヶ月で完了します。
墓じまい全体の期間として「6〜12ヶ月かかる」と言われることがありますが、これは墓石の撤去工事の手配や石材店の空き状況が絡むためです。
墓石の撤去を伴わない改葬であれば、書類が揃えば比較的短期間で進められます。
ただし、寺院との折衝がこじれた場合や改葬先探しに時間がかかる場合は、それ以上の期間を見ておく必要があります。
改葬にかかる費用の目安
改葬にかかる費用全体の平均額は275万円です。
ただし、この金額は一般墓への建て替えを含んだ場合の平均です。
実際には移転先の種類と遺骨の状況によって、費用は数万円から数百万円まで幅があるので、確認していきましょう。
移転元でかかる費用
改葬を行う際、現在のお墓がある側でも費用が発生します。
| 移転元でかかる費用 | ||
|---|---|---|
| 項目 | 費用目安 | 備考 |
| 改葬許可申請手数料 | 無料〜1,500円程度/件 | 自治体により異なる |
| 閉眼供養(魂抜き)のお布施 | 3万〜5万円程度 | 寺院による |
| 遺骨の取り出し費用 | 3万〜5万円程度 | 石材店への依頼費用 |
| 離檀料(任意) | 3万〜20万円程度 | 法的義務なし。お布施の一種。 |
| 移転先の種類別費用 | ||
|---|---|---|
| 改葬先 | 費用目安 | 特記事項 |
| 永代供養墓(合祀) | 5万〜30万円程度 | 合祀後の取り出し不可 |
| 納骨堂 | 10万〜100万円程度 | 形式により差が大きい |
| 樹木葬 | 5万〜100万円程度 | 合祀型と個別型で差がある |
| 海洋散骨 | 5万〜30万円程度 | 委託か立会いかで変わる |
| バルーン葬 | 20万〜24万円程度 | 残骨の処理費用が別途必要 |
| 宇宙葬 | 30万〜120万円以上 | 形式により大きく異なる |
| 遺骨ダイヤモンド | 数十万〜100万円超 | サイズ・加工内容で変動 |
改葬費用が変わる3つの要因
改葬の費用が想定より大きく変わる要因は主に3つあります。
- 寺院墓地か否か
- 遺骨の柱数
- 移転する遺骨が全体か一部か
1に関して、寺院墓地から離れる際には離檀料が発生する場合があります。
離檀料は法的に支払う義務はありませんが、長年お世話になったご住職への感謝の意を込めたお布施として渡す慣習であり、相場は3万〜20万円程度です。
2に関して、お墓には複数の方の遺骨が納められているケースが多く、改葬許可証や閉眼供養の費用は遺骨1柱につき発生します。
3柱、4柱、5柱と数が増えれば、それだけ費用も積み上がります。
3に関して、宇宙葬やバルーン葬では一部の遺骨しか使えないため、残りの遺骨への対応費用が別途かかります。

改葬では「全部で何にいくらかかるか」をトータルで見積もることが重要です。
改葬でよくあるトラブルと対処法
改葬はスムーズに進むケースばかりではありません。
- 寺院との関係
- 親族間の意見の相違
- 行政手続きの壁.etc
これらのトラブルは、事前に知っておくことで防げるものが多くあります。
寺院から高額な離檀料を請求された場合
離檀料は法的に定められた費用ではありません。
相場は3万〜20万円程度であり、長年の供養に対する感謝の気持ちとして渡すお布施の一種と解釈されています。
相場を大きく超える金額を提示された場合は、すぐに支払うのではなく、以下の対応を検討してください。
- 第三者を間に入れて話し合いの場を設ける(檀家総代など)
- 行政書士や弁護士に相談する
- 法テラス(法律援助機関)への相談も選択肢の一つ
交渉の場では感情的にならず、「改葬許可証の取得に必要な書類を発行していただきたい」という事実ベースで話を進めることが重要です。
親族から反対された場合
「先祖のお墓を動かすなんて」という反発は、改葬の場面で最もよくあるケースです。
法的には、祭祀承継者(お墓を管理する権限を持つ人)に改葬の決定権があります。
ただし、法的に正しいことと家族関係が壊れないことは別の問題です。
特に、バルーン葬・宇宙葬・遺骨ダイヤモンドといった例外的な選択肢を選ぶ場合は、価値観の違いが顕在化しやすく、強引に進めると後々まで遺恨が残ることがあります。
反対意見が出たときは、「なぜその選択肢を選ぶのか」の理由と「故人がどう思っていたか」という観点を丁寧に共有することが合意への近道になります。
埋蔵証明書を発行してもらえない場合
稀なケースですが、寺院が改葬に反対し、埋蔵証明書の発行を拒否するという事態が起きることがあります。
この場合、墓地の使用許可証や永代使用契約書など管理関係を示す書類を代替として受け付けてくれる自治体があります。
まずは改葬許可申請を行う市区町村の担当窓口に相談し、どのような書類で対応可能かを確認してください。
トラブルを防ぐ相談順序の鉄則
改葬でトラブルが起きる多くのケースは、「相談する順番」を間違えたことから始まっています。
正しい順序は、「改葬先を確保する→親族に説明して合意を得る→寺院へ相談する」です。

改葬先が決まっていないうちに寺院に話を持ちかけると、「どこに行くのか」が説明できないため交渉が宙に浮きます。
また、親族への説明より先に寺院へ話を通してしまうと、「なぜ相談してくれなかったのか」という不満が生まれます。
最初に移転先を確保し、次に家族全員の理解を得てから、最後に寺院へ丁寧に切り出す。
この順番を守るだけで、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。
まとめ
改葬は、先祖への思いと現実の事情の間で揺れる、決して簡単ではない決断です。
ですが、正しい知識と順序で進めれば後悔のない選択ができます。
この記事の要点をまとめます。
- 改葬先は最初に確保すること
- 親族全員の合意を事前に得ること
- 寺院への相談は丁寧且つ最後に行うこと
- 移転先の取り返しのつかない要素(合祀・散骨・加工など)を理解すること
- 費用はトータルで資産すること
改葬は先祖を粗末にする行為ではなく、今の時代の生活とこれからの家族の状況に合った形で、故人を大切にするための選択です。
