「宇宙で眠りたい。」
「宇宙が好きだった家族を空に送ってあげたい。」
そう考えて宇宙葬という言葉にたどり着いた方は少なくありません。
ただ、調べ始めると、費用の幅が数十万円から数百万円までばらついていたり、業者ごとにプラン名が違っていたりして、自分の場合はどうすればいいのかが見えてこないという声をよく耳にします。
そこでこの記事では、宇宙葬の種類や費用の目安、申し込みから当時の流れなど詳しく解説します。

宇宙葬に関する疑問はこの記事ですべて解決するはずです。
宇宙葬とは
宇宙葬は、粉状にしたご遺骨の一部を専用のカプセルに納め、ロケットに載せて宇宙へ送り出す供養方法です。
散骨の一種にあたり、海に撒く海洋散骨や山林に撒く方法と同じ自然葬の系統に位置づけられます。
1990年代にアメリカで始まり、これまでに世界で数百人が実施しています。
かつては海外の業者に直接依頼するしかありませんでしたが、現在は日本国内の窓口を通して申し込めるようになり、生前予約に対応している業者もあります。
宇宙という言葉から特別な立場の人だけのものと感じられるかもしれませんが、実際には一般の方が選べる供養方法のひとつになっています。
宇宙へ送れる遺骨はごくわずか
意外と知らない人も多いですが、宇宙葬では故人の遺骨をすべてをロケットに搭載できるわけではありません。
実際にロケットへ搭載できるご遺骨は、1グラムから7グラム程度です。

骨壺一杯のご遺骨がそのまま宇宙へ行くわけではありません。
これは業者が出し惜しみをしているのではなく、ロケットに載せられる重量が厳格に制限されているためです。カプセルはごく小さなもので、そこに納められる量には物理的な上限があります。
つまり宇宙葬は、それだけでご供養が完結する方法ではありません。
宇宙へ送るのは象徴となる一部で、残りのご遺骨には別の行き先を用意する必要があります。
この点を知らずに申し込みまで進んでしまうと、打ち上げの直前になって残りのご遺骨の扱いを決めなければならず、限られた時間のなかで判断を迫られることになります。宇宙葬を検討するときは、最初から残りのご遺骨の供養方法とセットで考えてください。

宇宙葬の種類と遺骨の行き先
宇宙葬は大きく以下の4つのタイプに分かれます。
選ぶときの基準として多くの記事が費用を挙げていますが、ご家族の気持ちに直接関わるのは、ご遺骨が最終的にどこへ行き、手を合わせる対象が残るのかという点です。
ここではその軸で整理します。
ロケットで宇宙空間へ送るタイプ
ご遺骨を載せたカプセルが宇宙空間まで到達し、そのあとカプセルは地球へ帰還する形式です。
宇宙葬のなかでは最も費用を抑えられるプランにあたります。
打ち上げから帰還までの時間は短く、宇宙空間へ到達したという事実が記録として残ります。
帰還したカプセルを記念品として受け取れる業者もあり、形として何かを手元に残したい方に選ばれています。
人工衛星として地球を周回するタイプ
カプセルが人工衛星とともに地球の周回軌道に乗り、長い期間そこを回り続ける形式です。
周回する期間はプランによって幅があり、数年で終わるものから数十年から数百年に及ぶものまであります。
軌道を回り続けたカプセルは、最終的に高度を下げて大気圏に入り、そこで燃え尽きるため、永久に宇宙にとどまるわけではありません。

このタイプはいつか必ず消えてなくなるということは押さえておきましょう。
月へ届けるタイプ
ご遺骨を月へ運び、月面に安置する形式です。
行き先がはっきりと決まっており、夜空を見上げたときにそこにあると分かる点が、他のタイプにはない特徴です。
費用は宇宙葬のなかでも高額な部類に入り、打ち上げの機会そのものが限られています。
申し込みから実施までに年単位の時間がかかることを前提に検討してください。
外宇宙へ飛び続けるタイプ
地球の周回軌道を離れ、宇宙の深い場所へ向かって進み続ける形式です。
戻ってくることも燃え尽きることもなく飛び続けます。
行き先が特定の場所に定まらないため、ここにいると指し示すことはできません。それでも、どこかを旅し続けているという形を望む方に選ばれています。
故人が生前に自由な生き方を大切にしていた場合、その人らしさに合うと感じるご家族が多いようです。
バルーンで飛ばすタイプは宇宙葬に含まれる?
バルーン葬も宇宙葬の一部として紹介されることがありますが、仕組みが異なります。
バルーン葬は、粉状にしたご遺骨を大きな風船に納めて空へ飛ばし、上空で気圧の差によって風船が破裂することでご遺骨が散布される方法です。
到達する高度はおよそ30キロメートルから40キロメートルの成層圏で、国際的に宇宙の入り口とされる高度100キロメートルには届きません。
これはバルーン葬の方が劣っているという話ではなく、以下のようなバルーン葬にしかない良さがあるのです。
- 費用が抑えられる
- 国内で実施できる
- 家族が見守る中で送り出せる
ただ、宇宙へ送るつもりで申し込んだのに実際には成層圏だったと後から知れば、納得のいかない気持ちが残ります。

どちらを選ぶにしても違いを分かったうえで決めることが大切です。

以下に宇宙葬の4つのタイプとバルーン葬の違いをご遺骨の行き先という視点でまとめました。
| タイプ | ご遺骨の行き先 | 最終的にどうなるか | 手を合わせる対象 |
|---|---|---|---|
| 宇宙空間へ送る | 宇宙空間に到達後、地球へ帰還 | カプセルが戻る | 記念品として残せる場合あり |
| 人工衛星として周回 | 地球の周回軌道 | 大気圏で燃え尽きる | 周回中は位置情報で確認可能 |
| 月へ届ける | 月面 | 月面にとどまる | 夜空の月 |
| 外宇宙へ飛び続ける | 太陽系の外側へ向かう | 飛び続ける | 特定の場所は定まらない |
| バルーン葬 | 成層圏 | 上空で散布される | 空全体 |
なお、バルーン葬に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:バルーン葬の費用や当日の流れを解説!残りの遺骨はどうする?
宇宙葬の費用相場
宇宙葬の費用は、タイプによって20万円台から300万円近くまで開きがあります。同じ宇宙葬という言葉でも、内容によって金額がまったく違うということです。
金額の差を生んでいるのはどこまで運ぶかという「距離」と、その「機会の希少性」です。
地球の近くで完結するほど費用は抑えられ、月や外宇宙のように遠くへ行くほど高額になります。
一般的な目安は次のとおりです。
| タイプ | 費用の目安 |
|---|---|
| 宇宙空間へ送る | 45万円から50万円前後 |
| 人工衛星として周回 | 100万円前後 |
| 月へ届ける | 250万円以上 |
| 外宇宙へ飛び続ける | 250万円以上 |
| バルーン葬 | 20万円から25万円前後 |

プラン内容や業者、為替の状況によって変動するので実際の金額は必ず最新の情報を確認してください。
一般的なお墓を新しく建てる場合、墓石代と永代使用料を合わせて150万円から200万円ほどかかることを考えると、宇宙空間へ送るタイプは決して手の届かない金額ではありません。
管理費が発生し続けることもなく、次の世代に負担を引き継がない点も含めて比較してみてください。
なお、他の散骨方法も選択肢として考えたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:散骨の種類は何がある?費用・法律・後悔しないための選び方を解説
費用に含まれないもの
提示されている金額は打ち上げそのものの費用であり、それ以外には以下の費用が別途かかるケースがあります。
- 粉骨の費用
- 打ち上げの見学にかかる費用
- 残った遺骨を供養するための費用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まず粉骨の費用ですが、ご遺骨はそのままの形では搭載できず、粉状にする工程が必要になります。
プラン内に含まれている場合と別料金の場合があるため、契約前に確認してください。
次に打ち上げの見学にかかる費用です。
ロケットの打ち上げは主にアメリカで行われます。現地で見送りたい場合、渡航費と宿泊費が必要になり、ご家族の人数によっては打ち上げ費用と同じくらいの金額になることもあります。しかも打ち上げは天候や機体の状況で延期されることがあり、日程が動けば航空券の取り直しが発生します。

現地での見送りを希望される場合は、この不確実性まで含めて予算を組んでおくと安心です。
そして忘れられがちなのが、残されたご遺骨を供養するための費用です。
宇宙へ行くのは一部だけですから、残りのご遺骨をどこに納めるかによって別の費用がかかります。
宇宙葬の総額を考えるときは、この分を必ず加えてましょう。
宇宙葬に送らなかった残りの遺骨はどうなる?
宇宙葬を決めるときに最も大切なのは、宇宙へ送らないご遺骨の行き先を同時に決めておくことです。
ここが決まっていないと、宇宙葬そのものは終わってもご供養は途中のままになります。

宇宙へ送るのはわずか数グラムですから、ほぼすべてのご遺骨の行き先は決めておく必要があります。
残りのご遺骨の行き先の主な選択肢は以下の通りです。
- 手元供養
- 永代供養
- 別の散骨
手元供養として自宅に置く
最も多く選ばれているのが手元供養です。
宇宙葬と組み合わせることで、遠くへ送り出すこととそばに置いておくことの両方が叶います。
小さな骨壺やペンダント、オブジェなど形はさまざまで、置き場所も仏壇に限りません。お墓のように管理費もかかりません。
ただし、ご自身が亡くなったあとにその手元のご遺骨をどうするかまで考えておく必要があります。
手元供養を考えているなら、「KOBO」さんのガラス製の小さなお墓がとてもおすすめです。
有名なガラス作家がすべて手作りで作り上げており、世界に一つしかありません。

粉骨も一緒に行ってくれるのがありがたいです。

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関連記事:手元供養とは?種類・費用・始め方をわかりやすく解説
永代供養
寺院や霊園に管理を任せる方法です。
手を合わせに行ける場所が確保でき、後の世代に管理の負担が残りません。
継ぐ人がいない、あるいは家族に負担をかけたくないという理由で宇宙葬を選ぶ方にとって、考え方の方向が一致する選択肢です。
関連記事:永代供養とは?種類・費用・流れを完全解説
海洋散骨など別の散骨と組み合わせる
残りのご遺骨も自然に還したいと考える場合は、海洋散骨を組み合わせる方法があります。
宇宙と海という異なる場所へ送り出す形になり、宇宙葬だけでは足りないと感じる気持ちを補える場合があります。
ただし、すべてを散骨してしまうと手元にも墓所にも何も残らないため、後から手を合わせる場所が欲しくなったときに戻せません。
ご家族のなかに迷いがある方がいる場合は、一部を手元に残すことを検討してみてください。
なお、海洋散骨を検討するなら「シーセレモニー」がおすすめです。
業界トップクラスの実績と安さを兼ね備えた散骨専門の業者になります。

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関連記事:海洋散骨とは?費用や種類・業者の選び方など徹底解説
宇宙葬の申し込みから打ち上げまでの流れ
宇宙葬は、申し込んですぐ実施されるものではありません。
全体の期間は1年前後を見込んでおくと、心の準備がしやすくなります。
生前に自分で申し込む場合
生前予約では、契約を済ませておき、実際の打ち上げは亡くなったあとに行われます。
業者を比較して契約を結び、プランと搭載するご遺骨の量を決めます。
このとき合わせて、残りのご遺骨の供養方法も決めて家族に伝えておいてください。

書面に残しておくとあとで家族が迷わずに済みます。
宇宙葬は認知度が高くないため、自分で決めたという事実がはっきり残しておくことで、遺族が親族に説明しやすくなります。
亡くなった後に家族が申し込む場合
ご逝去後に申し込む場合は、火葬を終えてご遺骨を受け取ったあとに手続きを始めます。
業者を決めて申し込み、ご遺骨を粉状にする粉骨を行い、指定された量をカプセルに納めて引き渡します。
そのあとは打ち上げのスケジュールを待ちます。
急ぐ必要はありませんので、四十九日の法要などを済ませてから落ち着いて進めても問題ありません。
すでにお墓に納骨されているご遺骨を宇宙葬にする場合は、先に改葬の手続きが必要です。この場合はさらに数か月が加わります。
関連記事:改葬とは?手順・費用・移転先の選び方を分かりやすく解説
宇宙葬は法律で禁止されているのか?
宇宙葬を禁止する法律はありません。
日本にも打ち上げ先の国にも、遺骨を宇宙へ送ることを罰する規定は存在せず、実際に日本人の方がすでに何人も実施しています。
ただし、法律で禁止されていないこととと、いつでも自由に実施できることは別です。宇宙葬には、他の散骨にはない固有の制約があります。
日本国内から打ち上げることはできない
宇宙葬のロケットは、現在すべて海外から打ち上げられています。

国内で禁止されているというより、対応できる打ち上げ機会が国内にないという状況です。
日本の窓口となる業者に申し込んだ場合も、ご遺骨は海外へ運ばれ、現地の打ち上げ施設からロケットに搭載されるので、最後の瞬間をその場で見送りたいと願っても国内では立ち会えません。
見送りに立ち会いたい場合は渡航が必要になり、渡航費に加えて、延期があれば日程を組み直す負担も生じます。
ご高齢の方やご病気の方がご家族にいる場合、現地まで足を運ぶこと自体が難しいこともあります。
そのため、打ち上げの日に自宅で手を合わせるという形も含めて、どう見送るかを事前に決めておくと、当日を落ち着いて迎えられます。
月へ送る方法には国際的な議論がある
月面へご遺骨を届けるプランについては、実施をめぐって異議が出たことがあります。
2024年1月、アメリカで民間の月着陸機に約70名分のご遺骨が搭載され、打ち上げられました。この計画に対し、月を神聖な場所とする先住民族ナバホ・ネイションの代表が、打ち上げ前に正式な異議を申し入れ、実施の延期と事前協議を求めています。計画そのものは中止されずに実行されましたが、月に人の遺骨を届けることをどう考えるかという問いは残されたままです。
これは日本の利用者が罰せられるという話ではありません。
ただ、月へ送るという選択には、こうした議論が伴っていることを知ったうえで決めていただきたいと思います。
故人を大切に送りたいという気持ちとその場所を大切にしてきた人たちの気持ちは、どちらも同じくらい真剣なものだからです。
また、今後月面への搭載に条件が加わる可能性もあります。

月へ届けるプランを検討している方は契約前に最新の状況を業者に確認してください。
スペースデブリを理由に規制される可能性はあるのか
現時点で、宇宙ゴミ(スペースデブリ)を理由に宇宙葬が禁止される動きはありません。
かつて、遺骨を載せたカプセルが軌道上に残り続けることでスペースデブリが増えるという批判がありました。
現在は、軌道に投入されたカプセルは位置が把握され、周回を終えると大気圏に入って燃え尽きる設計がとられています。
とはいえ、宇宙の利用に関するルールは各国で議論が続いている分野です。
生前予約では契約から実施まで長い年月が空くため、その間に打ち上げの条件が変わる可能性は残ります。
申し込みの前に、条件が変わった場合の取り扱いと返金の規定を書面で確認しておいてください。
宇宙葬に関するよくある質問
最後に、宇宙葬を検討中の方から寄せられることの多い疑問をまとめます。
宇宙ゴミにならないのですか?
軌道上に投入されたカプセルは監視の対象として位置が把握されており、周回を終えたあとは大気圏に入って燃え尽きます。放置されて残り続けるわけではありません。
宗教や宗派は関係ありますか?
特定の宗教や宗派に属していなくても実施できます。仏式の法要と組み合わせることも可能で、閉眼供養を行ってから宇宙葬に進む方もいます。
法律上の問題はありませんか?
散骨は、節度をもって行われる限り問題にならないという考え方のもとで実施されています。日本の法律は、ご遺骨を墓地に納めることを前提に作られているため、散骨についての明確な規定がありません。すでに納骨されているご遺骨を取り出す場合は、自治体での改葬手続きが必要になります。
関連記事:墓じまいに必要な行政手続きとは?改葬許可申請の流れや必要書類
まとめ
宇宙葬は、故人らしい送り方ができる供養方法であり、次の世代にお墓の負担を残さない選択肢でもあります。
一方で、宇宙へ送れるご遺骨は1グラムから7グラム程度に限られ、それだけでご供養が完結するわけではありません。
検討するときは、どのタイプを選ぶかと同時に、残りのご遺骨をどこへ納めるかを決めてください。この2つがそろって初めて、宇宙葬という選択が形になります。
そして、決める前にご家族と話す時間を持ってください。
急いで結論を出す必要はありません。
どの方法を選んでも、故人を思う気持ちが変わることはないのですから、納得できるまで時間をかけて選んでいただければと思います。



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